コラム「先代の治療論」

病苦を除く

この永遠のテーマにおいて、わたしたちは「体はひとつ」 の発想で治療を行なっています。 治療は、筋肉の弾力や関節の動きなどを観察しながら、 歪みを起こしやすい部位を触って椎骨を復元し、治癒させてゆくという、 原始的な方法です。

触ることは、昔から 「触診」 といって大切な診断の一部であるわけですから、いくら時代が進歩して医療技術が発展しても、やはり人間の生きた感覚は衰えさせたくはないものです。このような方法でほんとうに効くのかと、不思議がる人も多いようですが、触れるという治療の真価を当院では大切に考えているのです。

戦前、戦中、戦後を通して一心に治療に専念し、道を拓いてきた先人の方々の毅然とした生き方を、わたしたちは心より信じています。

さて、当院をご存じない方のためにも、当院のシステムを紹介しましょう。

まず、初観の方に対して現在の症状を、専用の初観用紙に記入していただきます。話をお聞きしてから、次のような手順で原因を見つけます。

① 体の主な関節の可動性をチェックして体の歪みを診ます。 股関節、膝関節、足関節 肩関節、手関節、 肘関節など。

②体の主な部位を触って、 体の歪みを診ます。 頚部、 後頭部、鎖骨、 鼠径部、 仙腸関節、 左右の肩甲骨の高低差など。

③体の主な筋肉の硬直部位を触診して、 体の歪みを診ます。 背中の筋肉、 大腿、下腿部の筋肉、 上腕の筋肉など。

こうして来院された方の状態を把握したうえで、 症状の原因を次のよう にして取り除きます。
① 手技によって整復や指圧などを施し、 歪みを元の位置に戻します。
② 自己管理の指導をお願いします。 体操をすすめたり、食事、 生活習慣 などのお話をします。 健康維持の基本は、 自己管理の徹底で、 これに勝るものはありません。

自己の感受性を鈍らせないことが、身を守り、災いを起こさせないことにつながるのです。
どうか、みなさんも、体・健康・生命についてあらためて考えてみてください。