コラム「先代の治療論」

病気になる理由(前編)

病気になる理由として考えられることは、第1には生活習慣に基づく肉体の酷使、或いは精神的な偏りによるものです。
司令伝達している精神 (意思力) が、 今おかれている生活状況において、どのように肉体を操縦しているかが問題になってきます。

調和という言葉がありますが、 実際には体感したことを探求したり、自分なりに納得することができなければ自分を制御する力にはなりません。
それが現実の世界ですから、どうしても自分では気が付かないうちに、その調和となるバランスを崩し、 偏った日常生活 及び社会生活を送ってしまうのです。

図1に表した健康体は一般的に肉体 (陽) と精神 (陰)の調和がともなった身体身心の構成を示しています。

図2のように肉体を酷使したような日常生活であれば、組織および器官に著しく障害を及ぼします。 

図3では逆に精神を過度に消耗するような日常生活であれば、神経を構成する細胞に著しく害を及ぼしていきます。

実際には、図で表現してみたものの決してその表現が正しいとは思っていません。
それは、日常の消費量をどのような方法で計測するかという問題や感情の動きまで図示することは困難なことだからです。
しかし、少なからずとも、一日の生活は偏った方向性をもって動いているという事を理解していただきたいと思うのです。

現在、日本では2月4日を境に春になりますと 花粉症が蔓延し始めます。
その症状を診て花粉症 として位置付けられ、それに対し私達は納得してしまう傾向が強くあります。
また、血圧が高いからといって、死ぬまで降下剤を飲み続けている人を多く見受けます。
そう簡単にどうして納得をしてしまうのだろうか。
それは、異論を唱える人があまりにも少ないからです。 ここが一番大きな問題でもあり、 病気を病気として固定化させてしまう自分の心が、そこにある事を気付いて頂きたいのです。

図4について言える事は、気が付かないから病気を起こすし、気付いても改善をしなければ病気にもなり、感じても行動力が伴わなければ何もなりません。
病気になる理由は色々あるにしても基本的には五感以外に、気付くという霊性なる力を素直に受け止め、実践躬行(じっせんきゅうこう)する以外に道はないと考えます。

その中で、朝起きて体がだるいと感じた時、 すぐ薬を服用するのでなく、体がだるくなる理由を知る為に、少なくとも一週間位の生活行動を省みることが大切なのです。
その理由をないがしろにし、忙殺を勝手に言い訳するその心が問題なのです。
(後編へ続く)